このエントリーはフィルムカメラ Advent Calendar 3日目の投稿です。
フィルムカメラ、といいつつ、半分はフィルム写真の話に…。
私は、現在ウェブ系のフリーランサーをしています。趣味が高じ、写真作家として活動を始めてもう7年(中断期間はありますが…)、フィルムカメラ歴は30年くらいになりますか。生まれた頃はフィルムカメラが全盛でしたからね。詳しいプロフィールは写真展のページをご覧ください。
“死んだ写真”がとても嫌で…
今年は8月、9月の2ヶ月間にわたりフィルムの写真展をさせてもらいました。
“させてもらいました”というのも、静岡市にあるフェルケール博物館から「ギャラリーで展示しませんか?」とお誘いをいただいたのがきっかけ。
今年行った写真展は4回目。過去の2回の反省を踏まえ、悔いを残さないようにと臨みました。
去年(2016年)3月に行った2回目の個展は、撮りためていたフィルム写真をストーリー仕立てで再構成したもの。10月の3回目は、Canon EOS 6D で撮ったものを Lightroom でガリゴリとフィルム調に加工したもの。
開催後に振り返ると、前者はトンマナの統一が図れてないことが、後者は“死んだ写真”だったのがとても嫌で…。次は「絶対フィルムでの撮り下ろしで、トーンをそろえた写真でやりたい」と思っていたさなかのお誘いでした。
作りたいものを作れ、主題はあとからついてくる
「とりあえず作りたいものを作れ、主題はあとからついてくる」という、忘れられぬ言葉があります。それを胸に構想を練りました。とりあえず決まったのは次の4点。
- カメラは Hasselblad 500 C/M(Carl Zeiss Planar T* 2.8/80)
- フィルムは Ilford Delta 100 x 5本
- 撮る時間帯は同じ
- 被写体は「波の泡」
私は仕事場に近い海岸でよく撮ります。波の泡がビールの泡みたいで美味しそうだな…というところから、これをテーマに作品を作りたいなと考えていました。(もう閉幕したので告白しますが、写真展タイトルの「Blessed Hours(至福の時)」は“泡s”が由来の駄洒落です。)
しかし子持ち母、撮影する時間がまとめて取れません。そこを逆手にとって、撮影期間は2月〜5月、仕事帰りのマジックアワー10〜15分のみ。そして、天気は荒れ気味なとき。冬の嵐にハッセルは砂まみれになりながら…。
結果、勝手に主題はついてきました。
(心境などは私感に。)
懐は冷えるけど、、も
開催期間は2ヶ月間。
フレームを借りるにも高くつくし、展示スペースが赤茶色のレンガ壁だったため、またも逆手にとり「木製パネル張りにして、プリントに余白を付けてしまえば映えるのではないか」という安直な発想で木製パネル張りに。
余白を2cmにするか5cmにするか悩みましたが、フレーム+マットのイメージに近づけたく5cmに指定しました。木製パネルは40cm角、水張りテープはもちろん黒で。
フィルム写真で展示というと、手焼きなのかな?と思われるのですが、プリントからパネル加工まですべてプロラボにお任せです。今回の展示作品はすべてデジタル出力となるので、お気に入りの一枚だけバライタの手焼きも1枚だけお願いしちゃいました。うん、やっぱり手焼きはいい(笑)。
世界に目を向ければ、まだ
すこし脱線して相棒の話をしましょう(こちらが Advent Calendar の本題ですね)。
最初にフィルムカメラを触ったのは110(ワンテン)という規格のもの。
若い方は馴染みが無いかもしれませんが、いまでも「デジタルハリネズミ」にその面影を残しています。
父からもらった OM-1、学生時代にバイト代をはたいて買った EOS 100、とフィルムカメラを使い、その後は出始めたばかりのデジタルカメラに浮気をしていましたが、2009年頃のフィルムブームでまた戻ってきました。
冒頭の写真は現在持っているフィルムカメラたちです。
写真右上から Hasselblad 500 C/M、ロシア生まれの FED 2、ハーフな Olympus PEN EED、Mamiyaflex Automat B、そして愛機の Olympus OM-1。これに加えて、ディスプレイ用のジャンク蛇腹カメラが2つあります(笑)。Olympusのオールドレンズもいくつか持っており、デジタルの PEN F に取り付けては遊ぶ日々です
フィルムはほぼ白黒。カラーも使いますが、年々高価になっていくので本当に使う機会は少なくなりました。
好きなフィルムは Kodak Tri-X と FUJIFILM PRO 400H。これはワークショップに通っていたときからの受け売りです。
近年、フィルムがどんどん高くなり、数が減り…この先どうしようと少し悲観的になりますね。しかし世界を見渡すと、クラウドファンディングでブランドを再興したり、新しくフィルムを作ったりする人たちもいたりして、個人的にはまだ大丈夫かな…という印象です。実は日本発のフィルムもあったり。
自分の Instagram の反応を見ていると、外国では白黒フィルム写真が人気あるのかなとも感じます。
フィルムね、いいですよ。やっぱり(ざっくり)。今は手の中でいくらでもフィルム調に加工できますが、それはやはり“フィルム調”であり、フィルムではないですから。
フィルムは続くよ、どこまでも
写真展、それそのものは実に静かに始まり、静かに終わりました。いつも見に来てくださる方や、遠方から立ち寄ってくださる方もいました。ありがとうございます。
こぢんまりとした展示でしたが、作家としては作品と主題がカチッとはまった非常に満足のいくものでした。写真展には間に合いませんでしたが、Photobackでコンセプトブックも作りましたので、興味のある方はご覧ください。
せっかく作り込んだ作品なので、またどこかで展示できたらいいなと思っています。
フィルムね、いいですよ。続けていきましょ。
明日の フィルムカメラ Advent Calendar は @4_5matworksさんですね。よろしくお願いしまーす。