コンテンツへスキップ →

秋の夜長に、母と弁当を巡るどうでもいいエトセトラ

今月は子供の校外学習だ、参観会の代休だ、と弁当の日が多い(と言っても3日間なのだが…)。

学区の端から通う朝は早い。限られた時間の中で弁当を作るにあたっての三箇条を書き連ねてみよう思う。

1. 三色は死守せよ

高校生の時は毎日が弁当持ちであった。今考えると、3年間もよく母は作ったなぁと感心もする。

給食の調理師という彼女の仕事柄、娘の弁当ひとつ作ることなど赤子の手をひねるも同然だっただろう。そんな母が言っていたことを今でも覚えている。

「三色揃ってれば美味しそうに見えるの。」

思い返せばブロッコリー、プチトマト、玉子焼の三品がよく入っていたっけ。

当時は「へー、そうですか」とぐらいにしか思っていなかったが、デザイナーという職業に就き、色彩や心理学をかじるとそれが理にかなっているのだと知った。

それは我が子の弁当にもしっかりと受け継がれている。玉子焼は最低限作る。プチトマトも入れる。緑ものは何とかして…。

ということで、第一条は「三色は死守せよ」。

2. 冷凍食品は上手く利用せよ

手作り弁当…なんと甘美で温かい言葉。前の晩から仕込み、朝早く起き白い割烹着を着て手の込んだおかずを作る。

目を覚ますのだ、自分。現実は平均して25分くらいで作らなければならない。甘美で温かい言葉とは程遠い幻想…。

そんな時短が原則の現代の弁当作り、冷凍食品はいつでもオールオブ“ものぐさおかん”の大いなる味方である。

主菜から添え物まで、冷凍食品が入らない日はない(多くのご家庭でもきっとそうに違いない…)。唐揚げ、グラタン、野菜のソテー。最近ではレンジで解凍せずに、そのまま詰められるものもある。

最近よく使うようになったのは「冷凍ブロッコリー」だ。茹でてカットしてあるやつ。緑ものが少ない冬場には、三色死守に必須な食材だ。

袋の指示には「ラップしてレンジで解凍してね」とある。しかし、ひとつやふたつそこらを“チン”するのは時間の見極めが難しいのだ。水気が飛びすぎたり、焦げてしまったりなんてのは常。

ある時、マグカップが目に入って気がついた。あー、これに湯を入れて溶かせばいいと。それ以来、冷凍ブロッコリーの出番が増えたのは言うまでもない。

第二条、「冷凍食品は上手く利用せよ」。

3. 味付けは調味料だけにあらず

ものぐさ玉子焼のことは前に書いた。相変わらずおかずのセンターポジションにいる。

玉子焼の味付けは塩か砂糖か白だしが定番と思われるが、我が母の定番は乾燥わかめだった。黄色と緑のコントラストもさることながら、わかめの塩分が程よく旨味を醸し出す。

これにならって、地場名産釜揚げしらすやら、塩昆布やら、ゆかりやら、思いつくものを放り込んでみた。

「昆布のまた作って❤︎」
ふむふむ、我が子は塩昆布がお気に召したようだ。また作って❤︎と言わず、毎回作って差しあげるぞ、子よ。なにしろ母はものぐさである。

となれば、品質向上に努めなければならない。実は一般的な塩昆布は卵と混ぜて調理するには少々長く、芽ひじきのような細かい昆布の発掘が急がれた。

スーパーの乾物商品棚を眺め、見つけた「きざみフジッコ」。

ふりかけ用とあって昆布は程よく細かく、ゴマも入っている優れものである(私にはそう思える)。求めていたのはこれ!心の中でだけ小躍りしてレジに向かったのは言うまでもなく。

(いま改めて商品紹介をウェブで見ていたら、フジッコサイトで塩昆布玉子焼が紹介されていた。)

第三条、「味付けは調味料だけにあらず」。

さてとまあつらつらと書いてはみたが、この三箇条はさして目新しいことではないことは知っている…のであるが、なんだか書かずには居れなかった。

なんでだろうな。大病してから料理する回数も減った母を見ていたら、秋の夜長にふと書きたくなったのだ。

さぁ、来週もまた初っ端から弁当だ。冷蔵庫の中を確認しておかなくては。

カテゴリー: Inside